なぜ読書感想文を書くのか ②つらいのはなぜ?読書感想文のプロセス

前回の記事はこちらー読書感想文 ①一番の目的は読書を楽しむこと

読書感想文を書くのが辛いのはなぜなのでしょう。プロセスに分解してみます。

 ①本を選ぶ

 ②本を読む

 ③書かれた文から何かを感じる

 ④自分が感じたこと(心の動き)を自覚する

 ⑤自分の心の動きを言葉にする

 ⑥言葉を文章にする

人によって、どのプロセスに困難を感じているのかが違うと思います。
プロセスによって、対処法も変わります。

①本を選ぶ

課題図書が設定されていなければ、これまでに読んだことのある好きな本から選ぶのが楽だと思います。
「好きな本」は心が大きく動いた本なので、言葉にするプロセスが楽になります。

各所で感想文におすすめされている本には、成長物語や友情・学校生活に関連した物語の本が多いようです。あなたの好きな本がそのような本であればよいのですが、人の好みは様々ですので、そういった「おすすめ本」が必ずしも正解ではないと思います。
物語である必要も、人生観が変わる必要も、教訓も必要ありません。
純粋に好きな本、たくさん心が動いた本を選ぶとよいと思います。
(毎日本を読んでいても、人生観が変わるような本などめったに出会えるものではありません。人生を通して数冊、といったところでしょう。)

また、使われている言葉が難しすぎると読んで理解するのに苦労するので、読み通せる難易度であることは重要ですね。

 (好きな本の探し方については、後日別の記事を書く予定です。)

②本を読む

選び終わったら読みましょう。
気が進まない場合は、勉強と同じで取り組む時間を予め決めておくのが有効です。
自宅で集中するのが難しければ、学校の自習室や地域の図書館の閲覧室を利用してみましょう。

③書かれた文から何かを感じる

本を読めば必ず、何かを感じているはずです。
感動や共感でなくても、不快でも、不安でも、興味でも、何かしらは感じています。
「感想がない」と思っても、感じていないのではなく、感じたことを自覚できていないだけなのだと私は思います。

④自分が感じたこと(心の動き)を自覚する

読書感想文の一番の難しさは、本当はここにあるのではないでしょうか。

自分の心が動いたことを自覚すること、何をどう感じたのか自覚することは大人であってもとても難しい。(だからこそ各種物語の題材となるような人間関係の諸問題が起きるのだともいえます。)

大きく心が動く本を選べば、自覚は比較的簡単です。
ですが、心の小さな動きを自覚するのには、練習が必要です。
ぜひ読書感想文をこの練習の機会として使ってほしいと思います。
練習なので、当然失敗します。
感じたことを自覚しようとする試みが、子どもたちを大きく育ててくれると私は思います。

まずは、読み終えて、覚えていることを書き出してみましょう。
本のジャンルによっては、読みながらメモを書いたり、気になったところに付箋を貼ってもいいと思います。
覚えているということはあなたの心が動いた証拠です。

物語であれば、好きなシーン、好きなセリフ、好きな登場人物はあったでしょうか。
ノンフィクションであれば、特に記憶に残る話題や、著者の言葉、語り方に好きなところ、面白かったところはあったでしょうか。

自分の心を自覚することは、子どもたち自身が豊かな人生を送るために必要なことでもありますし、すべての芸術を楽しむ基礎にもなるものです。
できれば、日ごろから練習する機会をもつのがお勧めです。
(そして、LAFYはそれを練習する場です。)

⑤自分の心の動きを言葉にする

これも④の続きで、とても難しく、そして価値のある取り組みです。

自分の心を自覚しても、言葉に表さなければ人に伝えることは難しい。それが愛であれ、悲しみであれ、言葉に変える力は子どもたちの人生を支えてくれます。

ですので、ぜひ挑戦してみましょう。上手くいかないのは当然です。多くの大人でも上手くできないことなのですから。

思いつく言葉が自分の感覚と合っていないように感じたら、近い言葉から類語を探してみましょう。
辞書を引くのが苦痛でなければ類語辞典を使ってみると良いと思います。
地域の図書館でも利用できますし、簡単なものであればWEB上にもあります。

⑥言葉を文章にする

一般に作文の書き方として教えられているのはこのプロセスの事だと思います。最近話題の生成AIが得意なのもここです。(AIはあなたの代わりに感じることも、あなたの感覚を言い表すこともできませんね。)

多くの文を読み、その構成を参考にしながら書くことで、次第に書く力はついてくると思います。インプットだけではできるようになりませんので、上達するためにはアウトプットを繰り返すしかありません。
上級学校に進むにつれ文章を書くことの重要度は高まっていきますし、将来どんな仕事に就いたとしても文章を書く機会はあるでしょう。高校や大学の入学試験で小論文が用いられていることからも、文を書く力が社会で重視されていることは明らかです。

ですが、気を付けなければいけないのは、このプロセスだけでは文は書けないということです。何かを感じ、それを自覚し、言葉に変えることができてはじめて、文章を書く素材がそろいます。

読書感想文をプロセスごとにみていきましたが、あなたがつまずいているのはどの段階でしょうか。もしかしたら全部、かもしれませんが、要素に分解すると、一つ一つの解決策を考えやすくなるものです。

解決策としてよく見られるのは①・⑥に関するものですが、感想文の肝は②~⑤にあると私は思います。そして特に難しいのが④と⑤。でもこれができるようになれば、将来すてきなラブレターを書いたり、たくさんの人の心に響くプレゼンテーションをすることに役立つでしょう。

人の感じ方はそれぞれ違うので、あなたの感想はあなただけのものです。褒められる良い感想も叱られる悪い感想もない。あなたが感じたことはすべて素晴らしいことなので、自信をもって書いてみてください。

そしてもしよかったら、私にも読ませてくださいね。